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堀内 美江

参加予定日程:9月21日、22日

プロフィール

ドイツ文学者、ドイツ語講師兼、シュタイナー幼稚園運営者
愛知県豊橋市生れ。大学院在学中にドイツ・ミュンヘン大学へ留学し、シュタイナー教育を日本に紹介し、また黒姫童話館のエンデコーナー創設にも尽力した恩師、故子安美知子早稲田大学名誉教授に師事し、そのつながりでエンデ氏と出会いました。「はじめて一緒に酒が飲める日本人女性」と覚えられ、美味しいワインを一緒に楽しんだり、ご自宅では、お猪口を自由に選んで、日本酒をかたむけたりしました。その他、様々なプライベートの機会に、エンデご夫妻と時間を共にさせていただくことができました。そこで交わされる会話の端々から、エンデ氏の根本的な考え方や愛嬌あふれる人間性に触れ、今はその記憶が、自分自身の大きな糧となっています。
現在は教育分野の本業に精進しながら、エンデ氏の作品と思想を伝えることと、思想的な深いつながりの中で、エンデ氏が亡くなるまで親密に精神的な会話を楽しんでいた子安美知子氏が日本に残したエンデ関係の資料を整理公開することを、ライフワークとして掲げ、小さな活動を重ねています。黒姫童話館では、毎年秋に、童話館のエンデ資料を用いながら、小さな読書会も開いています。
今年は代表作『モモ』が発刊されてから50年。急激に変わる時代のなかで、この作品が再び大きな注目を集めています。今回は、『モモ』の持つ魅力を皆で語り合い、新たな視点や生きることに対するヒントを、一緒に見つけ合うことができれば、とても嬉しく思います。
ところで、『モモ』の中には、たくさんの<偶然>が登場します。目に見える世界の数量や因果律では説明できないことが、『モモ』では起こるのです。例えば少女モモが、灰色の男たちの隠れ家を見つけようと、時間の止まった町を走り回るその時、友だちの左官屋の男が、<偶然>ある方向を指さしたまま止まっていました。モモはその姿を直観的に理解し、その先にある隠れ家を発見します。
このような『モモ』の直観的な自由、偶然のもたらす道筋の面白さを味わう醍醐味を、体験できたらいいな、と考えています。例えば、『モモ』を中心とした作品の断片文を、カルタのように見立て、引いた言葉について、引いた方ご自身の自由に意見を聞かせていただきながら、背後にあるエンデさんの世界観や人間観をお伝えするのも、面白いかもしれません。様々な偶然と、自由な直観から生まれた、新しい体験や考えが集まり、美しい一枚の布のような尊い時間を編み上げることができれば、素敵なのですが・・・。
皆様とお会いできるのを、楽しみにしています。

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